【獣医師執筆】犬の塩分取りすぎによる症状と健康への影響を徹底解説

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犬が塩分を取りすぎると、さまざまな健康リスクが発生することをご存知ですか?特に、腎臓や心臓に負担がかかり、命に関わる症状が現れることもあります。「犬 塩分 取りすぎ 症状」で調べている方は、愛犬の健康を守るために適切な塩分管理がどれほど重要かを知りたいはずです。一方で、塩分不足も犬の体に悪影響を与え、神経や筋肉に問題が生じることがあります。また、暑い季節には塩分のバランスが崩れやすく、熱中症対策としても塩分の必要量を適切に把握することが大切です。この記事では、犬の塩分管理に関するポイントと、塩分の過剰摂取を防ぐための方法について獣医師が解説します。

  

記事のポイント

 

  • 犬が塩分を取りすぎた場合の具体的な症状やリスクを理解できる
  • 腎臓や心臓に与える塩分の影響について学べる
  • 犬に必要な1日の塩分必要量と管理方法が分かる
  • 熱中症対策としての塩分補給の重要性が理解できる

  

   

    

犬の塩分を取りすぎることによる症状とリスクについて

  

犬にとって塩分が必要な理由
犬の塩分取りすぎが引き起こす症状
犬の腎臓に与える塩分の影響
心臓疾患のある犬が塩分を摂りすぎた場合
犬の塩分取りすぎによる症状が見られたら

  

犬にとって塩分が必要な理由

   

犬にとって塩分は生命維持に欠かせない重要な栄養素です。なぜなら、塩分に含まれるナトリウムとカリウムが、体内の細胞や血液のバランスを維持し、正常な機能を保つために不可欠だからです。ナトリウムは特に神経伝達や筋肉の収縮を助ける役割を担っており、これがうまく働かないと、犬は体の調整機能に支障をきたします。

また、塩分は体内の水分バランスを保つためにも必要です。犬の体内での水分の調整は、主にナトリウムとカリウムの働きによって行われます。適切なナトリウム量がないと、細胞が縮んだり、逆に膨張したりすることで、体に負担がかかり、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。特に、犬の体液の浸透圧を調整する役割があり、このバランスが崩れると、脱水症状や腎臓への負担が増大します。

しかし、過剰摂取は問題であるため、塩分管理が重要です。市販のドッグフードには、犬にとって適切な量の塩分が含まれていることが多く、特別な場合を除いて、塩分を意識して追加する必要はありません。特に手作り食の場合、塩分の調整が不十分になりがちなので、適量を守ることが大切です。

 

犬にとって塩分が必要な理由

   

犬の塩分取りすぎが引き起こす症状

   

犬が塩分を過剰に摂取すると、健康にさまざまなリスクが生じます。まず考えられるのが「食塩中毒」で、これは摂取後数時間で現れることがあり、主な症状として嘔吐や下痢、極端な渇きなどが見られます。さらに、犬は人間ほど塩味を感じにくいため、飼い主が与えすぎても気づきにくいという問題もあります。

塩分の取りすぎによって、血圧が上がり、腎臓や心臓に負担がかかることも大きな問題です。特に腎臓や心臓に疾患がある犬にとっては、少量の塩分過多でも病状を悪化させる可能性があるため、特に注意が必要です。具体的には、心臓病のリスクが増し、腎臓のろ過機能が低下することによって、体内の老廃物がうまく排出されなくなります。

さらに、塩分の過剰摂取が続くと、振戦や痙攣、意識障害などの神経症状が発生することもあります。これらは非常に重篤で、命に関わるケースもありますので、犬が普段と違う様子を見せた際には、すぐに動物病院での受診が必要です。

最終的には、飼い主が犬に与える食事やおやつの塩分量を確認し、適切な摂取量を守ることが重要です。特に加工食品や人間用の食べ物には多くの塩分が含まれているため、犬に与えるのは避けるべきです。

 

犬の塩分取りすぎが引き起こす症状

   

犬の腎臓に与える塩分の影響

  

犬にとって適切な塩分は必要な栄養素ですが、塩分の過剰摂取は腎臓に大きな負担をかけます。腎臓は体内の老廃物や余分な水分、塩分を尿として排出する役割を担っており、これが正常に働かなければ、体内の塩分濃度が上昇し、血圧が高くなる可能性があります。特に、腎臓に疾患を抱える犬の場合、塩分の過剰摂取は病状を悪化させるリスクがあります。

塩分を過剰に摂取すると、腎臓は余分なナトリウムを排出するために過剰に働く必要があり、これが腎臓の負担を増大させます。この結果、腎機能の低下を招き、慢性腎臓病(CKD)などのリスクを高めることになります。腎機能が低下すると、体内の老廃物がうまく排出されず、体調が悪化する恐れがあります。

一方で、塩分不足も腎臓に悪影響を与える可能性があります。塩分が足りないと、ナトリウム不足から体内の水分バランスが崩れ、脱水症状を引き起こすことがあります。したがって、腎臓に負担をかけないためには、適切な塩分量の管理が重要です。特に腎臓疾患のある犬には、低塩分の療法食などが推奨される場合もありますので、獣医師の指導に従って食事を選ぶことが大切です。

 

   

心臓疾患のある犬が塩分を摂りすぎた場合

   

心臓疾患を抱える犬にとって、塩分の摂りすぎは深刻な問題となります。塩分を過剰に摂取すると、体内の水分量が増加し、それに伴って血液量も増えます。この結果、心臓に過度の負担がかかり、心臓の機能が低下するリスクが高まります。特に心臓病を患っている犬では、塩分の過剰摂取が症状を悪化させる要因となります。

具体的には、塩分を摂りすぎることで血圧が上昇し、心臓が全身に血液を送り出すためにさらに強く働かなければならなくなります。これにより、心臓のポンプ機能が過剰に働き、心不全のリスクが増大するのです。心不全の初期症状としては、咳や呼吸困難、疲れやすさなどが見られますが、進行すると命に関わることもあります。

心臓疾患を持つ犬の食事は、ナトリウム制限が重要です。一般的なドッグフードではなく、心臓に負担をかけないように配慮された低塩分の療法食を選ぶことが推奨されます。飼い主は、愛犬の状態に合わせて獣医師のアドバイスを受け、塩分管理を徹底する必要があります。また、加工食品やおやつの中には高塩分のものが多いので、与える際には成分表示をしっかり確認することが大切です。

 

   

犬の塩分取りすぎによる症状が見られたら

  

犬が塩分を過剰に摂取した場合、早めに対応することが重要です。塩分の取りすぎによる初期症状としては、強い渇きや頻繁な水分摂取、嘔吐や下痢といった消化器系の問題が見られることが多いです。特に、過剰な水分補給による尿の増加や、だるそうな様子、元気のなさが見られたら注意が必要です。

さらに、症状が進行すると、ふらつきや歩行困難、痙攣、意識障害といった神経系の異常が現れることもあります。これらは命に関わる可能性があるため、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。また、特に腎臓病や心臓病のある犬では、塩分過剰が疾患を悪化させるリスクが高くなります。重篤な場合は、点滴や輸液などで体内の塩分バランスを調整する治療が必要になることもあります。

このような症状が見られた場合は、直ちに水分を十分に与えるなどの応急処置を行いながら、動物病院へ連れて行くことが大切です。普段から加工食品や塩分の高い人間の食べ物を与えないように気を付け、愛犬の健康を守りましょう。

 

犬の塩分取りすぎによる症状を防ぐための管理方法

  

   

犬の1日の塩分必要量はどれくらい?
犬の腎臓を守るための塩分管理
犬に塩分が必要な状況と熱中症対策
手作り食で犬に塩分不足を防ぐ方法
ドッグフードの塩分量を確認する方法

    

   

犬の1日の塩分必要量はどれくらい?

  

犬が塩分不足になると、体内の水分バランスや神経伝達が正常に機能しなくなり、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。ナトリウムは塩分に含まれる成分で、犬の体内では水分保持や血圧調整、筋肉や神経の正常な働きを支える重要な役割を果たしています。このナトリウムが不足すると、犬の体調や行動に異変が見られることがよくあります。

まず、犬が足や手を頻繁に舐めたり、地面やコンクリート、他の犬の尿を舐めるなどの行動が観察される場合、ナトリウム不足を補おうとする本能的な行動である可能性があります。塩分不足が進行すると、倦怠感や食欲不振、筋肉の不調が見られ、さらには脱力感や立ち上がるのが難しくなるケースもあります。慢性的な塩分不足が続くと、腎臓に負担がかかり、尿路結石のリスクが増えるなど、腎臓機能に悪影響が及ぶことも懸念されます。

犬の1日に必要な塩分量は、犬の体重によって異なります。一般的に、成犬の場合、1日あたり体重1kgにつき約50mgのナトリウムが必要とされています。たとえば、10kgの犬では500mgのナトリウム、つまり約1.27gの塩分が適切な量となります。ナトリウムが不足すると、水分バランスや電解質の均衡が崩れ、体調に異常をきたすことがあります。反対に、ナトリウムの過剰摂取は腎臓や心臓に負担をかけるため、過不足なく与えることが大切です。

通常、市販されているドッグフードには、犬に必要な塩分量がバランスよく含まれているため、追加で塩分を与える必要はありません。しかし、手作りの食事や人間の食べ物を与える場合、塩分の管理が難しく、過不足が発生するリスクが高くなります。特に手作り食では、栄養バランスの管理が難しいため、ナトリウム不足が生じやすい点に注意が必要です。

犬の塩分摂取量を適切に管理するためには、ドッグフードのパッケージに記載されているナトリウム量を確認することが重要です。また、犬の健康状態に合わせて食事内容を見直す必要がある場合は、必ず獣医師に相談し、適切な栄養管理を行いましょう。塩分は不足しても過剰でも犬の健康に悪影響を与えるため、日常的に意識して管理することが犬の健康維持につながります。

 

参照:犬・猫の健康を守るために - 環境省

   

犬の腎臓を守るための塩分管理

   

犬の腎臓を守るためには、塩分管理が非常に重要です。腎臓は体内の老廃物を排出し、電解質や水分のバランスを維持する役割を担っているため、塩分の過剰摂取は腎臓に大きな負担をかけます。特に腎臓病を患っている犬では、塩分の制限が病気の進行を抑えるカギとなります。

腎臓病の犬は、ナトリウムを適切に排出する機能が低下しているため、高塩分の食事は避けなければなりません。高塩分の食事は、腎臓にさらなる負担をかけるだけでなく、高血圧を引き起こし、腎機能をさらに悪化させる可能性があります。そのため、低ナトリウムの療法食や特別なフードが推奨されます。こうしたフードは、腎臓への負担を軽減するために、リンやタンパク質の量も調整されていることが多いです。

塩分管理を行う際は、定期的に獣医師の指導を受け、犬の健康状態に合わせた食事計画を立てることが重要です。また、普段の水分摂取量も腎臓の健康に直結するため、常に新鮮な水を与え、水分補給をしっかりとサポートしましょう。

 

   

犬に塩分が必要な状況と熱中症対策

   

犬に塩分が特に必要となる状況として、熱中症対策が挙げられます。暑い時期には、犬も体温調整のために水を多く飲み、塩分を尿で排出するため、軽度のナトリウム不足に陥ることがあります。人間と同様、犬も汗をかくわけではありませんが、必要な塩分が失われた場合、適切に補給することが重要です。

熱中症対策として、適度な塩分補給が有効になる場面もあります。特に長時間の運動や外出の後、水分とともに少量の塩分を与えることで、体内の電解質バランスを整え、脱水症状を予防することができます。ただし、犬に与える塩分量には細心の注意が必要で、過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため、塩分の多いおやつや人間用の食べ物は避けるべきです。

具体的には、塩分を含んだ犬用のスープや電解質を補うための犬用サプリメントを利用するのが良いでしょう。いずれにしても、熱中症予防のためには十分な水分補給が基本ですので、常に新鮮な水を用意し、日陰での休憩や涼しい場所での生活環境を整えることが先決です。

 

犬に塩分が必要な状況と熱中症対策

    

犬のおやつに含まれる塩分量に注意

   

犬用のおやつには、意外に多くの塩分が含まれていることがあります。特にジャーキーやビスケット、煮干しなどは、100gあたり1~5g程度の塩分を含むことがあり、適切に管理しないと犬に塩分過剰のリスクを与える可能性があります。塩分の過剰摂取は、腎臓や心臓に負担をかけ、健康を損ねる要因になるため、与える量には十分な注意が必要です。

例えば、犬用のジャーキーは100gあたり1~3gの塩分を含むものが多く、特に小型犬の場合、体重に対して過剰な塩分摂取になることがあります。おやつを選ぶ際は、パッケージに記載された塩分量を確認し、低塩分のものを選ぶようにしましょう。また、おやつの与えすぎは肥満の原因にもなるため、適量を心掛けることが大切です。

さらに、手作りのおやつを作る場合も、塩や調味料を加えないことが基本です。自然の素材を使い、犬にとって安全なレシピを利用することで、塩分の取りすぎを防ぐことができます。塩分の少ないおやつは、健康を維持するだけでなく、犬にとっても安心して食べられるものとなります。

 

   

ドッグフードの塩分量を確認する方法

   

犬の塩分摂取量を適切に管理するためには、まず市販の総合栄養食を利用することが基本です。市販のドッグフードには、犬が1日に必要とする塩分(ナトリウム)がバランスよく含まれており、追加で塩分を与える必要はありません。一般的に、成犬の場合は体重1kgあたり約50mgのナトリウム摂取が適量とされています。このため、日常の食事として市販のドッグフードを与えていれば、塩分のバランスを大きく崩す心配は少ないでしょう。

一方で、手作りの食事を与える場合には、食材に含まれるナトリウムの量をしっかりと把握し、適切な量を守ることが大切です。肉類や加工食品はナトリウムが多く含まれていることがあり、これを頻繁に与えると、犬の体に過剰な塩分負担をかける可能性があります。過剰な塩分は、特に腎臓や心臓に影響を与え、健康に悪影響を及ぼすリスクが高まるため、食材の選択や調理においては慎重になるべきです。塩分が多く含まれる加工品や人間用の食材は避け、自然な食材を使用するよう心掛けましょう。

さらに、犬の健康状態によっては、特別な塩分管理が必要になることもあります。特に腎臓や心臓に疾患を抱えている犬の場合、塩分の制限が重要です。このような犬には、低ナトリウムの療法食が推奨されることが多く、獣医師の指導を受けて食事内容を調整することが必要です。普段の飲水量や体調の変化に注意を払い、異常があれば早めに獣医師に相談しましょう。

ドッグフードの塩分量を確認する方法としては、まずパッケージに記載されている「ナトリウム量」や「食塩相当量」を確認することが大切です。これらの情報は、栄養成分表示や原材料欄に記載されていることが多く、食塩相当量を算出するためには、ナトリウム量を使用して計算します。たとえば、ナトリウムが100mg含まれている場合、食塩相当量はナトリウム量(mg)×2.54÷1000で計算され、約0.25gとなります。これに基づいて、犬の体重に合わせた適切な塩分摂取量を確認することができます。

ドッグフードに塩分量が明記されていない場合もありますが、その際はメーカーのウェブサイトを確認したり、直接問い合わせて塩分量を確認するのも有効です。特に、療法食や健康管理が必要な犬には、塩分管理が厳密に求められるため、獣医師と相談しながら適切なフードを選ぶことが重要です。正確に塩分量を管理することで、犬の健康を長期的に維持することができるでしょう。

 

ドッグフードの塩分量を確認する方法

   

犬の塩分を取りすぎることによる症状について総括

記事のポイントをまとめます。

   

  • 犬にとって塩分は体内の水分調整や神経伝達に必要な栄養素である
  • 塩分の過剰摂取は嘔吐や下痢、強い渇きなどの症状を引き起こす
  • 過剰な塩分は腎臓や心臓に負担をかけ、疾患のリスクを高める
  • 塩分取りすぎによって血圧が上がり、心臓や腎臓への負担が増加する
  • 犬の塩分過剰摂取による症状は、痙攣や意識障害など重篤な場合もある
  • 心臓疾患を持つ犬は特に塩分の摂取に注意が必要である
  • 腎臓疾患を持つ犬には、低ナトリウムの療法食が推奨される
  • 犬の1日の塩分摂取量は、体重1kgあたり約50mgのナトリウムが適量である
  • ドッグフードには通常、適切な塩分量が含まれているため追加は不要である
  • 手作り食では塩分の管理が難しく、過不足が生じやすい
  • 犬のおやつには塩分が多く含まれる場合があり、注意が必要である
  • 犬の塩分摂取量は、ドッグフードのパッケージで確認することができる
  • 熱中症対策として適度な塩分補給が必要になる場合がある
  • 犬が塩分不足になると、行動異常や体調不良が見られる
  • 犬の健康状態に応じて、獣医師に相談しながら塩分管理を行うべきである

   

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はるいち

・西日本にある某国立大学獣医学科を卒業、獣医師免許取得。 ・卒業後は県職員として、保健所や動物愛護センターに勤務。 ・大学病院を経て、現在は九州の動物病院で犬や猫、小動物を中心に診療・予防医療に従事。 ・Webメディア監修、獣医師や飼い主向けセミナー講演、メディア取材などでも活動。 (所属:日本獣医師会、日本ペット栄養学会、ペット食育協会など)

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